安倍晋三元首相が2022年7月8日正午前、銃弾に倒れた。国中に衝撃が走ったあの日から、もうすぐ2年。事件を境に、日本の政治は大きく様変わりしてしまった。安倍氏が帰らぬ人になるとともに、保守政治は風前の灯となってしまった。左派から日本の政治を守ってきたのは安倍氏だったことを改めて思い知らされる。
代わって姿を現したものがある。保身から迷走して恥じぬ岸田文雄首相の不定見ぶりだ。政権延命のためなら野党やリベラル勢力との妥協に走ることもいとわない。しかも、それは岸田氏個人が抱える資質の歪みというだけでなく、自民党政治の末期症状として現れているのだから、保守層は暗澹たる思いに
かられている。
過去2年間の岸田政権の迷走ぶりを挙げればきりがない。安倍氏暗殺事件に端を発して巻き起こった旧統一教会問題。法的根拠もなく教団を「反社」扱いし、党は「絶縁」すると宣言した。マスコミからの批判をかわして保身を図ったのだ。そればかりか、教団は解散命令請求の「対象でない」と閣議決定し、国会でもその旨答弁したにもかかわらず、東
京地裁に請求した。そうしなければ反社扱いしたこととの整合性が取れず政権が崩壊する。その場しのぎの極みである。
1年前成立したLGBT理解増進法では、米国のリベラル政権の顔色をうかがいG7広島サミット開幕(5月19日)前日に国会提出。しかし、保守派から造反の恐れがあったため、日本維新の会・国民民主案をほぼ丸のみする形で修正し成立させた。政治資金規正法改正もしかり。この原稿を書いているのは衆院通過の段階だが、維新の会との妥協の産物であ
る。
岸田首相の保身と迷走に、国民はうんざりしている。だから、何をやっても支持率は低迷する。自民党に保守の旗印を掲げて首相に引導を渡す政治家はいないのか。
