「対等」な日米同盟へ道筋を

 米大統領選挙で圧勝したドナルド・トランプ氏は2025年1月20日、第47代大統領に就任する。が、すでにトランプ第2期政権は始まっている。バイデン現政権のレームダック化どころではない。すでにトランプ次期政権が実質、国際政治を動かしているのだ。

 例えば先のイスラエルとレバノン両政府による停戦合意、そしてウクライナ戦争もバイデン政権が対ロシア長距離ミサイルの使用を認め、NATO(北大西洋条約機構)もウクライナ軍事支援にアクセルを踏んだ。アジアでは対日強硬姿勢の中国がにわかにわが国に対し微笑外交に転じつつある。いずれも「アメリカ・ファースト」を豪語するトランプ氏の登場に備えた対応であり、いわば戦々恐々といった趣きなのだ。

 では日本はどう処していくべきか。米国はバンス次期副大統領はじめルビオ同国務長官(上院議員)など名だたる対中強硬派が軒並み指名されている。中国としては対日懐柔で米国の風圧を軽減し、かつ日米分断の効果も企図している。米中対立期における常套手段だ。ただ、日本としてはそうした〝トランプ効果〟のみに依存することがあってはならない。

 問題は、トランプ手法を単に同盟国をも容赦しない損益収支的発想とだけで捉えてはならないことだ。防衛費大幅増といった対応は従来のかわす域を出ず、とうていトランプ第2期時代を乗り切ることはできまい。

 第1期のトランプ氏を乗りこなした安倍晋三元首相は「自由で開かれたインド太平洋」構想を打ち出して西側を牽引した。日米同盟の本質的な絆、強化のため日本としての新たな戦略観を提示して利害を超えたビジョンが不可欠だ。石破茂首相が掲げる「アジア版NATO」構想や日米地位協定改定は単に党内議論に終わらせず、日米の対等な関係に向け積極的に米に問うて行くことだ。

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