自民党総裁の石破茂氏は、第102代内閣総理大臣に選出されたわずか8日後の10月9日、衆議院の解散総選挙に打って出た。確たる勝算のない電撃的決断だったが、結果は惨敗だった。自民党は単独過半数どころか公明党と合わせても過半数に届かなかった。「自公で過半数」を勝敗ラインに掲げそれを大きく下回ったのだから、即時退陣するのが筋のはずだが居座っている。
「政治とカネ」の問題が直撃し猛烈な逆風を受けたのは確かだ。しかし、理想的な国家像や外交・安全保障などの重要政策を競う「別の土俵」を作れなかったのは、石破首相の力量の限界だろう。世論の関心事に耳を傾けるのは大切ではある。だが、その声を絶対善に位置付け、それに応え共感を得ようと最優先で注力した。肝心の国益にかかわる政策論争を疎かにするようでは、一国のリーダーとして失格だ。
敗北後の自民党には、かつての「自民党らしさ」が見えない。保守の魂の抜けた烏う ごう合の衆の様相だ。首相指名選挙で「石破茂」と書いてもらうことに関心が集中し、わずか28議席の国民民主党に頭を下げて延命を図ろうと躍起になっている。首相指名のためにはやむを得ないものの次回の総選挙で単独過半数を奪回するんだといった盛り返しの気運はない。その気概も感じられない。
これでいいのか。石破首相は「自民党は心底から反省し生まれ変わる」と語り、続投を表明した。そうであるなら、解党的出直しの覚悟を本気で固めなければならない。自民党立党時に公表された「党の使命」には、「政治倫理の低下の傾向等を果敢に是正し、国家と国民全体の利益のために、庶政を一新する革新的な実行力ある政党」となり、「国家百年の大計を周密に画策して、これを果断に実行する以外に途はない」とある。
米国ではトランプ氏が大統領選で圧勝し「米国を再び偉大な国にする」と勝利宣言した。日米同盟を基軸としつつ、さらに深化させることが求められる。そのためにも、党是の憲法改正を急がねばならない。
