自民党総裁選で勝利した石破茂氏が、第102代内閣総理大臣に選出された。激動する国内外情勢の下、国家のリーダーとして新政権を率いていく。国益にかない、日本の未来を委ねられる新政権になれるかが問われている。
「党内野党」の長かった石破氏は、鷲のように強い鳥は群れない「鷲しちょうふぐん鳥不群」が座右の銘だといって孤高を楽しみ、世論受けすることを言うだけの評論家であり続けることはできない。政策力と決断力と実行力と結果が求められる最高責任者となったのである。
しかし、政権の前途が多難であることは疑いない。「15日公示、27日投開票」と自ら日程を設定した衆議院の解散・総選挙で勝利できるのかが第一の関門だ。首相に就任して戦後最速の解散に踏み切った石破首相は、世論の支持率が落ちないうちの「ご祝儀」期間中を狙ったのだろう。
解散をするとしても野党としっかり論戦してから断行する、と言っていたのが新総裁・首相に就任するや、解散に踏み切ってしまった。これには野党側の立腹は収まらない。だが、もし、この総選挙で自民党が単独過半数の233議席以上を獲得できなければ石破首相の責任問題に発展し求心力は激減する。
仮に過半数に届いても、党内基盤の脆弱な石破首相には重要政策決定のフリーハンドがほとんど与えられていない。初めて行った所信表明演説では、経済、外交、安全保障などの主要政策は岸田前政権の継承に過ぎなかった。
懸念されるのは「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と言いながら自衛隊最高指揮官としての自覚や胆力が感じられなかったことだ。選挙戦により国内ばかりに視線が向きがちなときこそ油断せず、有事への備えをしっかりしなければならない。
